研究業績 Teaching

研究業績Publication

2024

  • Ishii T, Nawa N, Hosokawa S, Morio T, Fujiwara T. Exploring Viral Infections’ Role in Kawasaki Disease Onset: A Study during the COVID-19 Pandemic. J Med Virol. 2024 May;96(5):e29660.

  • 山岡祐衣、越智真奈美、福井充、伊角彩土井理美藤原武男那波伸敏. 養育支援訪問事業における家庭訪問型支援の意義、支援の困難な状況、支援員の関係性作りの心構えについて:インタビュー調査より. 子どもの虐待とネグレクト、2024 May 14;26(1).

  • Terada S, Isumi A, Yamaoka Y, Fujiwara T. Years of education mediate the association between adverse childhood experiences and unintended pregnancy: A population-based study in Japan. Child Abuse Negl. 2024 May 7;153:106817. doi: 10.1016/j.chiabu.2024.106817. Online ahead of print.

    日本語アブストラクト

    「教育年数が小児期逆境体験と予定外妊娠の関連を媒介する:日本における集団ベースの研究」

    【背景】
    小児期逆境体験(ACE)は、予定外妊娠(Mistimed pregnancy(早すぎた妊娠)やUnwanted pregnancy(望まない妊娠)など)と関連する可能性が諸外国から報告されている。しかし、教育年数がこの関連を媒介するかについてはわかっていなかった。そこで本研究では、日本におけるACEと予定外妊娠との関連を明らかにするとともに、教育年数の媒介効果について検討することを目的とした。

    【方法】
    千葉県の4か月児健康診査を受診した母親7,652人を対象に後方視的コホート研究を行った。ACEおよび予定外妊娠は自記式質問紙で尋ねた。多項ロジスティック回帰分析を用いて、予定外妊娠に対するACEの相対リスク比を推定した。また、因果媒介分析により、教育年数の媒介効果を評価した。

    【結果】
    4つ以上のACEを有する女性は、早すぎた妊娠のリスクが2.4倍(95%信頼区間: 1.6-3.8)、望まない妊娠のリスクが5.0倍(95%信頼区間: 3.1-8.2)高かった。教育年数は、ACEと予定外妊娠の関連を約10-20%媒介していた。

    【結論】
    ACEは、早すぎた妊娠・望まない妊娠の両者と関連していた。教育年数はわずかにこの関連を媒介していた。

  • Manabu S, Nawa N, Noguchi Y, Taki A, Kashimada A, Honda I, Koyama A, Okazaki K, Kondo M, Miyahara H, Ito K, Yamauchi T, Kondo T, Honda-Ozaki F, Kusuda S, Morioka C, Fujiwara T, Morio T, Kashimada K. Stage III Chorioamnionitis reduces risk of severe retinopathy of prematurity. J Pediatr. 2024 May 2:114085. doi: 10.1016/j.jpeds.2024.114085. Online ahead of print.

  • Kawahara T, Isumi A, Ochi M, Doi SK, Surkan PJ, Fujiwara T. Association between maternal dissatisfaction with oneself at birth and shaking and smothering toward the offspring up to 18 months old. Child Abuse Negl. 2024 May 1;153:106816. doi: 10.1016/j.chiabu.2024.106816. Online ahead of print.

    日本語アブストラクト

    「出生児の母親の自己実現への不満足と、生後18か月までの子どもに対する揺さぶり・首絞めなどの身体虐待との関連」

    【背景】
    自己実現への不満足を抱える母親は、子供に対して揺さぶるまたは窒息させるなどの虐待行為に及ぶことがあります。この関連性を理解することは、効果的な予防策を立てる上で重要です。

    【方法】
    研究には、東京の2つの産科病棟で最近出産した434人の母親が参加しました。縦断的デザインを採用し、出産後のアンケートを使用して、母親の自己実現への不満足を測定しました。これには、個人的な基準や自己イメージに達していないと感じる度合いの評価が含まれます。3、6、12、18か月での幼児の身体的虐待(特に揺さぶりや首絞め)を追跡しました。データ分析には、多変量解析、グループベースの軌道モデリング、および多変量ロジスティック回帰が含まれ、母親の自己実現への不満足と子どもへの身体的虐待との関連を調査しました。

    【結果】
    多変量解析によると、自己実現に対する中程度または高い不満を持つ母親は、低い不満を持つ母親に比べて、乳幼児を虐待する可能性が高くなることが示されました(調整オッズ比 [aOR] 5.71, 信頼区間 [CI], 1.06-30.78およびaOR 12.47, 95 % CI, 2.11-73.69)。軌道分析によると、中程度または高い不満を持つ母親は、18か月まで一貫して幼児を虐待する可能性が高いことが示されました(aOR 8.08, 95% CI 1.61-40.53およびaOR 6.42, 95% CI 1.27-32.43)。

    【結論】
    この研究の発見は、母親の自己実現への不満足と乳幼児への身体的虐待の高いリスクとの強い関連を浮き彫りにしています。これらの洞察は、幼児虐待の予防策の包括的な見直しを求めています。

  • Terada S, Nishmura H, Miyasaka N, Fujiwara T*. Ambient temperature and preterm birth: a case-crossover study. BJOG. 2024 Apr; 131(5):632-640.

    日本語アブストラクト

    「気温と早産の関連」

    【背景】
    早産(妊娠37週未満の出生)は、5歳未満の子どもたちの最も多い死亡原因であり、世界的に深刻な問題です。また、地球温暖化の影響で寒さや暑さが極端になることで、人々の健康に悪影響を及ぼすことは広く知られていますが、これが早産にどのように影響するかはよくわかっていませんでした。日本は、全国どこでもほぼ同じような周産期医療を受けることができ、かつ国土が南北に長いため気温の変動が様々です。その特徴を利用し、妊娠期の女性が寒さや暑さにさらされると早産が増えるかどうか明らかにすることを目指して、この研究が行われました。

    【方法】
    この研究では、2011年から2020年までの10年間にわたり、日本の46都道府県(沖縄県を除く)を対象に、日平均気温と早産発生件数の関連を調べました。調査には日本産科婦人科学会の周産期登録データベースと気象庁の気象データを活用し、気温の影響が現れるまでの時間差(ラグ効果)を考慮しました。

    【結果】
    妊娠期の女性が寒さや暑さにさらされると、早産のリスクが高くなることが明らかになりました。

     ●一日の平均気温が0.8℃(寒さの上位1%)の場合
     早産のリスクが15%増加 (95%信頼区間: 5%~29%)
     ●一日の平均気温が30.2℃(暑さの上位1%)の場合
     早産のリスクが8%増加 (95%信頼区間: 0%~17%)
     ※気温16℃を基準としています。

    今回調査した21万件の早産のうち約5000人は寒さ(16℃未満)に起因すると推測され、それは早産全体の2.3%に及びました。(95%信頼区間0.6%~4.0%)
    また、寒さや暑さによる早産のリスク上昇は、35歳未満の女性や、妊娠34週以降の後期早産において、より強く見られました。

    【意義】
    この研究により、妊娠期の女性が寒さや暑さにさらされることが早産のリスクを高める可能性が明らかになりました。これは、妊娠期の女性に対する介入や予防策において気温に留意することが重要であることを示唆しています。将来的には、例えば熱中症警戒アラートのように、早産の予防対策として妊娠期の女性に対して気温に関する情報を提供し、予防行動を促すことが有効であるかもしれません。地球温暖化の影響をますます身近に感じるようになる中、極端な気温が健康に与える影響を最小限にするために、医療機関は一層の取り組みが求められます。これによって、妊娠期の女性や胎児の健康を守り、社会全体の健康促進につながることが期待されます。

  • Kosugi Y, Plianchaisuk A, Putri O, Uriu K, Kaku Y, Hinay AA Jr, Chen L, Kuramochi J, Sadamasu K, Yoshimura K, Asakura H, Nagashima M, Ito J; Genotype to Phenotype Japan (G2P-Japan) Consortium; Sato K. Characteristics of the SARS-CoV-2 omicron HK.3 variant harbouring the FLip substitution. Lancet Microbe. 2024 Apr;5(4):e313.

  • Tani Y, Kawahara T, Sugihara G, Machida M, Amagasa S, Murayama H, Inoue S, Fujiwara T, Shobugawa Y. Childhood book availability helps to preserve cognitive function in older adults with low education: Results from the NEIGE study. J Gerontol B Psychol Sci Soc Sci . 2024 Apr 3:gbae052.

    日本語アブストラクト

    「教育歴が低い場合、子どもの頃に家に本があることが高齢期の認知機能維持に役立つ:NEIGE Study」

    【背景】
    教育歴が低いことが高齢期の認知機能低下と関連することはよく知られている。子どもの頃に家に本があったかどうか(本の利用可能性)は、低学歴の高齢者の認知機能の維持に役立つ可能性がある。本研究の目的は、子どもの頃の本の利用可能性が、教育歴の低さによる高齢期の認知機能の低さを緩和するかを調べこと、および脳領域体積が子どもの頃の本の利用可能性と認知機能との関連を媒介するかどうかを検討することである。

    【方法】
    65~84歳の地域在住日本人高齢者を対象としたNeuron to Environmental Impact across Generations (NEIGE)の横断データを用いた(n=474)。認知機能はMini-Mental State Examination(MMSE)を用いて評価した。子どもの頃の本の利用可能性は、15歳時点に家にあった本の数を質問票にて評価した。脳領域体積は磁気共鳴画像法を用いて測定した。解析には多変量回帰分析と構造方程式モデリングを用いた。

    【結果】
    教育歴の高さと子どもの頃の本の利用可能性は、ともに高齢期の認知機能の高さと独立して関連していた。教育歴の違いごとに分けて解析してみると、教育歴が低い参加者では、子どもの頃の本の利用可能性が認知機能と正の関連を示したが(係数=1.48、95%信頼区間(CI):0.31~2.66)、教育歴が中または高い参加者ではその関連は認められなかった(教育歴中:係数=-0.01、95%CI:-1.44~1.42、教育歴高:係数=-1.21、95%CI:-3.85~1.42)。教育歴が低い参加者では、左上側頭葉皮質体積が子どもの頃の本の利用可能性と認知機能との関連を媒介した。

    【結論】
    教育歴が低い高齢者において、子どもの頃に本が利用可能だった場合、左上側頭葉皮質体積を介して認知機能の維持に役立つ可能性が示唆された。これらの知見を再現するためには、さらなる研究が必要である。

  • 福岡豊、西澤颯大、西沢エリック辰哉、天笠志保、村山洋史、藤原武男、井上茂、菖蒲川由郷. GPSおよび加速度データからの高齢者に共通の身体活動場所の抽出法、電気学会論文誌C. 2024 Apr 1;144(4) :309-315.

  • Kosugi Y, Kaku Y, Hinay AA Jr, Guo Z, Uriu K, Kihara M, Saito F, Uwamino Y, Kuramochi J, Shirakawa K, Takaori-Kondo A; Genotype to Phenotype Japan (G2P-Japan) Consortium; Sato K. Antiviral humoral immunity against SARS-CoV-2 omicron subvariants induced by XBB.1.5 monovalent vaccine in infection-naive and XBB-infected individuals. Lancet Infect Dis. 2024 Mar;24(3):e147-e148.

  • Suzuki E*, Nawa N, Matsuyama Y, DeYoung K, Fujiwara T. The impacts of legalization of physician assisted suicide on binge drinking among US adults. International Journal of Mental Health and Addiction. 2024 Feb 16; https://doi.org/10.1007/s11469-023-01208-6. Online ahead of print.

  • Surkan PJ, Malik A, Perin J, Atif N, Rowther A, Zaidi A, Rahman A. Anxiety-focused cognitive behavioral therapy delivered by non-specialists to prevent postnatal depression: a randomized, phase 3 trial. Nat Med. 2024 Feb 16. doi: 10.1038/s41591-024-02809-x. Online ahead of print.

  • Terada S, Isumi A, Doi S, Tani Y, Fujiwara T. Association between gestational weight gain and behavioral problems of the offspring aged 6–7 years: A population-based study in Japan. Int J Gynaecol Obstet. 2024 Feb 10. doi: 10.1002/ijgo.15410. Online ahead of print.

    日本語アブストラクト

    「妊娠中の体重増加量と6-7歳児の行動に関する問題との関連: 日本における集団ベースの研究」

    【目的】
    妊娠中の体重増加量と、小学1年生における行動に関する問題や向社会的行動との関連を明らかにすること。

    【方法】
    「足立区子どもの健康・生活実態調査(A-CHILD)」のデータを用いて、東京都足立区の全公立学校の小学1年生(2017年・2019年・2021年)を対象に後ろ向きコホート研究を実施した(n=11,048、回答率=80.1%)。妊娠中体重増加量は、自記式質問票を用いて、母子健康手帳の記録に基づき保護者が回答した。行動に関する問題(総合的困難さ)や向社会的行動は、子どもの強さと困難さアンケート (SDQ)を用いて保護者が回答した。妊娠中体重増加量をスプライン関数または五分位として扱ったロジスティック回帰モデルを用いて、交絡因子を調整したうえで、妊娠中体重増加量と総合的困難さおよび向社会的行動の異常との関連を検討した。

    【結果】
    妊娠中体重増加量と総合的困難さの関連は逆J字型のパターンを示した。中央値(+10kg)を基準として、 妊娠中体重増加量が10kg未満ではリスクが増加したが、10kg以上では有意なリスク増加は認められなかった。第3五分位(+10kg)と比較し、第1五分位(7kg未満)ではオッズ比1.20、95%信頼区間1.01-1.42、第5五分位(14kg以上)ではオッズ比1.03、95%信頼区間0.85-1.24だった。また、 妊娠中体重増加量が+10kg以上では、向社会的行動の異常のリスクは低下し、第5五分位(14kg以上)ではオッズ比0.77、95%信頼区間0.62-0.95だった。

    【結論】
    妊娠中体重増加量は小学校1年生における総合的困難さや向社会的行動と関連していた。日本産科婦人科学会の示す体重増加の目安の範囲内において、妊娠中の十分な体重増加を促す栄養指導が重要かもしれない。

  • Khin YP, Yamaoka Y, Abe A, Fujiwara T*. Association of child-specific and household material deprivation with depression among elementary and middle school students in Japan. Soc Psychiatry Psychiatr Epidemiol. 2024 Feb;59(2):329-339.

    日本語アブストラクト

    「日本の小中学生の抑うつ症状と子どもおよび家庭の物質的困窮の関連性」

    【背景】
    本研究の目的は、日本の小中学生を対象に、子どもおよび家庭内の物質的困窮と抑うつ症状との関連を調査することである。

    【方法】
    小学校5年生(G5)10,505人、中学校2年生(G8)10,008人とその養育者の横断データを用いた。データは2016年8月から9月にかけて東京都の4市町村で、2017年7月から11月にかけて広島県の23市町村で収集された。養育者は世帯収入と物質的困窮を含む質問票に記入し、子どもは子ども特有の物質的困窮とBirlesonうつ病自己評価尺度日本語版(DSRS-C)を記入した。関連性を調べるために、欠損データのmultiple imputationsを行った後、ロジスティック回帰分析を用いた。

    【結果】
    G5の14.2%、G8の23.6%が、抑うつ症状のリスクを示すDSRS-Cスコアが16以上であった。物質的困窮で調整した場合、G5とG8の両方において、世帯収入は小児期の抑うつ症状と関連しないことがわかった。一方、家庭の物質的困窮の少なくとも1項目は、G8生の抑うつ症状と有意に関連していたが(OR = 1.19, CI = 1.00, 1.41)、G5生では関連していなかった。5項目以上の子ども特有の物質的困窮は、両年齢群において抑うつ症状と有意に関連していた(G5:OR = 1.53, CI = 1.25, 1.88; G8:OR=1.45, CI=1.22,1.73)。

    【結論】
    子どものメンタルヘルスに関する今後の研究では、子どもの視点、特に幼児の物質的困窮を考慮する必要がある。

  • Goto Y, Nagamine Y, Hanafusa M, Kawahara T, Nawa N, Tateishi U, Ueki Y, Miyamae S, Wakabayashi K, Nosaka N, Miyazaki Y, Tohda S, Fujiwara T*. Association of excess visceral fat and severe illness in hospitalized COVID-19 patients in Japan: a retrospective cohort study. Int J Obes (Lond). 2024 Jan 17. doi: 10.1038/s41366-024-01464-z. Online ahead of print.

  • Suzuki A, Tani Y, Anzai T, Isumi A, Doi S, Ogawa T, Moriyama K, Fujiwara T. Association between short stature at grade 1 and permanent teeth caries at grade 6 in elementary school children in Japan: a population-based cohort study. IJERPH. 2024 Jan 17;21(1):105.