藤原研で博士課程を修了して現在MD-PhDの医学生である小山佑奈さんの論文「社会的つながりとCOVID-19感染に対するスティグマの関係」がInternational Journal of Environmental Research and Public Health(IF=4.61)にアクセプトされました!
Koyama Y, Nawa N, Yamaoka Y, Nishimura, H, Kuramochi J & Fujiwara T. (2022). Association between Social Engagements and Stigmatization of COVID-19 Infection among Community Population in Japan. International Journal of Environmental Research and Public Health, 19(15), 9050. https://doi.org/10.3390/ijerph19159050
未知のリスクに対してスティグマが強くなることは知られていますが、COVID-19パンデミック禍において、一般の集団を対象に、感染者に対するスティグマを詳細に明らかにした研究はありません。また、スティグマが精神的・身体的健康に悪影響を及ぼすことは分かっていますが、どのようにスティグマを解消できるのかはわかっていません。本研究では、宇都宮市で実施された人口ベースのコホート調査により、ソーシャルキャピタルの高い人はスティグマが強くないことを明らかにしました。
【背景】未知のリスクに対峙した際、人は差別心や偏見ースティグマーを抱きやすくなる。本研究では、社会的つながりとCOVID-19感染に対するスティグマの度合いの関連性を検討することを目的とした。
【方法】宇都宮市で実施されたコホート研究「宇都宮市 新型コロナウイルス感染症調査(U-CORONA)」に参加した429名のデータを分析した。質問紙により自分や周囲の人が感染した場合に感じるスティグマを測定した。また、ソーシャルキャピタル、社会的つながりの多様性と大きさについても尋ね、一般化推定方程式(GEE)を用いた重回帰分析によってスティグマとの関連性を調べた。
【結果】全体として、女性は男性よりもスティグマ的な認識が強いことが示された。低学歴と抑うつ症状も強いスティグマと関連を示したが、年齢、世帯収入、既往歴の数は関連がなかった。また、ソーシャルキャピタルが高い人ほど、スティグマが弱かった(B=-0.69, 95%CI=-1.23 to -0.16)。一方、社会的つながりの多様性と大きさはスティグマの強さとは関連がなかった。
【考察】社会的つながりの多様性や大きさではなく、ソーシャルキャピタルを高めることが、スティグマを緩和することに寄与する可能性が示唆された。
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