お知らせ, 研究発表

2019.07.02

「東日本大震災後の親のPTSDが子どものメンタルヘルスに与える長期的影響」がアクセプトされました。

Honda Y, Fujiwara T*, Yagi J, Homma H, Mashiko H, Nagao K, Okuyama M, Ono-Kihara M, Kihara M. Long-term impact of parental PTSD symptoms on mental health of their offspring after the Great East Japan Earthquake. Frontiers in Psychiatry (in press) *Corresponding author

目的
本研究の目的は、東日本大震災に被災した地域における子どもの問題行動とその親の心的外傷後ストレス障害(PTSD)症状とを継続的にモニタリングし、両者の長期的な関連を明らかにすることである。

方法
東日本大震災に被災した3県(岩手・宮城・福島)で2011年3月の震災時4-6歳であった子どもとその親を追跡した。子どもの問題行動はChild Behavior Checklist (CBCL)、親のPTSDはImpact of Event Scale-R (IES-R)を用い、それぞれ2012年(ベースライン調査)と2014年(フォローアップ調査)において両者の関連を検討した。解析にはロジスティック回帰分析を用い、ベースラインの子どもの問題行動をその他の共変量(子ども:年齢・性別・トラウマ体験、親:年齢・教育歴、世帯:きょうだいの数・収入)を調整した。

結果
親のPTSD症状と子どもの問題行動の関連に対する横断的解析では、2012年は両者に関連が見られなかったのに対し、2014年は有意な正の関連が示された(adjusted odds ratio [AOR] = 3.03, 95% CI: 1.06-8.67) 。さらに縦断的解析結果において、2012年の親のPTSD症状は2014年の子どもの問題行動(内的尺度)と有意な関連を示した(AOR: 4.62, 95%CI:1.03-20.78)。

結論
東日本大震災被災地における親のPTSD症状と子どもの問題行動との関連は長期的であり、少なくとも3年間続くことが示唆された。被災地における親と子どもに対するメンタルヘルス支援において、この関連の可能性を検討する必要がある。