「妊娠期の親密なパートナーからの暴力(DV)を予測する尺度(Intimate Partner Violence during Pregnancy
Instrument(IPVPI))の開発」がアクセプトされました。
Satomi Doi, Takeo Fujiwara, and Aya Isumi. Development of the Intimate Partner Violence during Pregnancy Instrument (IPVPI). Frontiers in Public Health. 2019. [accepted]
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpubh.2019.00043/abstract
【背景】
妊娠期の親密なパートナーからの暴力(Intimate Partner Violence: IPV)は、母親にもその子どもにも悪影響を与える。
IPVは世界的にも重大な問題とされているものの、IPVは報告されにくいことから、その発生率は過小評価されていると考えられている。本研究では、報告されていない妊娠期のIPVも把握できるようなツールを開発することを目的とした。
【方法】
3-4ヶ月乳幼児健診に参加した愛知県の6,590名の女性が質問紙調査に参加した。質問紙には妊娠期のIPV(身体的IPV、言葉によるIPV )の経験、母親の属性、パートナーの属性、世帯の属性に関する質問項目が含まれ、健診前に郵送配布または健診時に直接配布された。質問紙は健診時に回収、または郵送にて回収した。妊娠期のIPVの予測モデルは先行文献をもとに選定されたリスク要因を用いて作成された。
【結果】
妊娠期のIPVに関する質問に回答があった6,530名のうち(有効回答率67.3%)、妊娠期のIPVを経験した割合は11.1%であった(身体的IPV = 1.2%; 言葉によるIPV = 10.8%)。多変量ロジスティック回帰分析の結果、母親の年齢(25歳未満)、経産、人工中絶の経験、妊娠発覚時にネガティブな感情を抱いた(例:困った)、妊娠期のサポートがない、パートナー関係での問題がある、妊娠期のパートナーの喫煙、経済的困難が妊娠期のIPVと関係していた。この結果に基づき、測定されない妊娠期のIPVを把握するための8項目からなるIntimate Partner Violence during Pregnancy Instrument (IPVPI)を開発した。IPVPIの得点範囲は0〜16点であり、中程度の予測力を有し(ROC曲線 = 0.719, 95%信頼区間 = 0.698-0.740)、カットオフ値は2点であった(感度= 79.5%, 特異度= 47.1%)。
【考察】
妊娠期IPVの経験を直接尋ねることなくIPVを把握しようとするIPVPIは、プライマリケアや産科において報告されない妊娠期IPVを把握することに役立つと考えられる。