「日本人女性の妊娠後期のn-3多価不飽和脂肪酸摂取と産後うつ症状」
Kobayashi M, Ogawa K, Morisaki N, Tani Y, Horikawa R, Fujiwara T*. Dietary n-3 Polyunsaturated Fatty Acids in Late Pregnancy and Postpartum Depressive symptoms among Japanese Women. Front. Public Health. (in press) *Corresponding author
【背景】 産後うつ病の予防や治療にとって、エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などの長鎖n-3不飽和脂肪酸(n-3PUFA)は、かなり関心が寄せられている。n-3PUFA 摂取量が高いことが報告されている日本人妊婦における、n-3PUFA 摂取量と産後うつ症状との関連は、重要な知見をもたらすこととなると思われる。産後うつ症状と n-3PUFA 摂取との関連性をさらに調べるために、われわれは日本における病院ベースの前向き出生コホート研究を実施した。
【方法】 本出生コホート研究は、国立成育医療研究センターで行われた。妊娠後期のn-3PUFA 摂取量は半定量式食物摂取頻度調査票によって推定され、摂取量によって対象者を5分位に分類した。出産1か月後(967人)、6カ月後(710人)を対象に、エジンバラ分娩後うつ病尺度を用いてうつ症状をスクリーニングした。交絡因子を調整したロジスティック回帰分析によって、産後うつ症状とn-3PUFA 摂取との関連を検討した。
【結果】妊娠後期のEPA 、DHA、n-3PUFA 摂取と出産後1ヶ月、6ヶ月のうつ症状との関連は観察されなかった。n-3PUFAのオッズ比(出産後1ヶ月;0.92 (95CI:0.53-1.60)、6ヶ月;1.13 (95CI:0.55-2.32))。
【結論】本研究では、妊娠後期のEPA、DHAおよびn-3PUFA 摂取は産後うつ症状のリスクと関連していないことを明らかにした。