タイトル:
親の仕事からの帰宅時間と小学1年生の精神的健康:足立区子どもの健康・生活実態調査より
Masashi Kizuki, Manami Ochi, Aya Isumi, Tsuguhiko Kato and Takeo Fujiwara*. Parental Time of Returning Home From Work and Child Mental Health Among First-Year Primary School Students in Japan: Result From A-CHILD Study
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fped.2018.00179/full
はじめに:親の就業時間が子どもの精神的健康と関連していることが知られている。機序として、親子のかかわりによる媒介が示唆されているが、帰宅時間について直接調べた研究は乏しい。本研究では、学校調査データを用いて、親の仕事からの帰宅時間と子どもの精神的健康との関連を分析した。
方法:
東京都足立区が実施した「第1回子どもの健康・生活実態調査」より、2987人のデータを分析した。両親の帰宅時間の「子どもの強さと困難さアンケート(SDQ)」結果への影響について、多重回帰分析を行った。
結果:
両親とも帰宅時間が遅い(母親6時以降、父親8時以降と定義)または不定の子どもでは、両親とも早い子どもに比較して、問題行動スコア(回帰係数:1.20、95%信頼区間:0.55-1.85)、行為の問題スコア(回帰係数:0.37、95%信頼区間:0.13-0.60)、多動/不注意スコア(回帰係数:0.53、95%信頼区間:0.24-0.82)が有意に高かった。媒介分析の結果、それぞれの影響の強さの20%(95%信頼区間:10-46)、17%(95%信頼区間:7-49)、23%(95%信頼区間:11-52)が、親子のかかわりの頻度の低下で説明されることが示唆された。
結論:
帰宅時間が両親とも遅いまたは不定の場合、子どもの精神的健康に悪影響があること、また、悪影響の理由として、親子のかかわりの頻度の低下が関与している例もあることが示された。