森田彩子准教授の論文「日本の大規模人口ベースコホートにおける3年間追跡調査:暑い日が認知症発症および全死亡率に与える影響」がAlzheimer’s and dementia(IF11.1)にアクセプトされました。
本研究は、猛暑と認知症発症との関連を、日本老年学的評価研究(JAGES)のデータ(65歳以上の自立した高齢者で、同じ自治体に30年以上住み、認知症の既往歴がない57,178名を最大3年間追跡したデータ)を用いて解析しました。その結果、明らかになりました。住んでいる地域で平年より大きく気温が上回る暑い日が合計30日発生すると、翌年の認知症発症リスクが40~150%増加し、その影響が数年にわたり持続する可能性があることが示されました。
本学のプレスリリースからも詳細な情報をご覧いただけます。
暑い日の増加が高齢者の認知症発症リスクを長期的に高める可能性 | Science Tokyo – 東京科学大学
(書誌情報)
Morita A*, Nishimura H, Anzai T, Nawa N, Tani Y, Kondo K, Fujiwara T. Effects of Extreme Heat on Dementia Onset and All-Cause Mortality: A Three-Year Follow-Up Study in a Large Population-Based Cohort in Japan. Alzheimers Dement. 2026 Jan;22(1):e71057.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41485132
【背景】
極端に暑い日の増加が認知症の発症にどのような長期的影響を及ぼすのかについては、明らかでありませんでした。
【方法】
2016年から2019年にかけて実施された日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study, JAGES)の縦断データを用いました。分析対象は、2016年度の調査に参加した65歳以上の自立した高齢者のうち、同じ自治体に30年以上居住し、認知症の既往歴がない57,178名です。認知症および死亡は、公的な介護保険データから特定しました。暑い日は、日平均気温が地域の過去30年間の気候データにおける上位10%または5%に該当する日と定義しました。解析には三層ランダム効果ロジスティック回帰モデルを用い、暑い日の累積曝露および各年ごとの暑い日の影響が、認知症発症または認知症発症と死亡の複合アウトカムに与える影響を評価しました。
【結果】
最大3年間にわたる暑い日の累積曝露は、認知症発症および認知症発症または死亡という複合アウトカムのオッズ比を有意に増加させました。時間遅延解析では、1年前および3年前の曝露が、認知症発症のオッズ比を40~150%有意に増加させることが確認されました。
【考察】
暑い日は複数年にわたって、高齢者の認知症発症を増加させる可能性が示唆されます。気候変動によって暑い日が増加する中、認知症予防の観点からも、高齢者を猛暑から守る対策の実施が求められます。

