研究発表, お知らせ

2025.02.02

論文「妊娠初期のSocial life impact for mother scale(SLIM尺度)による産後の自殺リスクの予測:前向き研究」がアクセプトされました!

土井助教の論文「父親の育児休業取得に関連する要因に対する父親の認識: 質的研究」がSuicide and Life‐Threatening Behavior(IF=2.7)にアクセプトされました。

(書誌情報)
Doi SK, Isumi A, Sugawara J, Maeda K, Satoh S, Mitsuda N, Fujiwara T. Social life impact for mother scale at first trimester predicts postpartum suicide risk: A prospective study. Suicide Life Threat Behav. 2025 Feb;55(1):e13157.


https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/sltb.13157

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39831728/

【タイトル】
妊娠初期のSocial life impact for mother scale(SLIM尺度)による産後の自殺リスクの予測:前向き研究

【背景・目的】
妊産婦の死因第一は自殺であり、自殺リスクを早期に把握し、早期支援に繋げることは重要である。産科医療機関の初診時(妊娠初期)に「Social life impact for mother scale(SLIM尺度)」を実施することで、産後の自殺リスクを予測することができるかを検討した。
【方法】
日本の4つの都府県の産婦人科クリニックおよび病院で実施された病院ベースの前向き研究の一部データを使用した(N=7,462)。研究対象者は、妊娠初期に9項目のリスク要因で構成されたSLIM尺度に回答し、産後1か月時点にエジンバラ産後うつ病自己質問票(EPDS)に回答した。EPDSの項目10(自傷行為念慮)を用いて産後の自殺リスクを評価した(N=5,697)。

【結果】
産後の自殺リスクをアウトカムとしたオッズ比の結果から重み付けされたSLIM尺度合計得点は、産後の自殺リスクを中程度の精度で予測した。SLIM合計得点で6点以上を記録した妊婦は、産後の自殺リスクが4.26倍(95%CI=3.12–5.01)高いことが示された。原版のSLIM尺度得点(社会的ハイリスクをアウトカムとしたオッズ比の結果から重み付け)も、産後の自殺リスクを予測したが、本研究の新しいSLIM尺度得点は原版よりも高い精度を示した。

【結論】
妊娠初期の産科医療機関での健診でSLIM尺度を実施することで、産科医療機関が産後の自殺リスクを予測し、妊婦に対するサポートを開始するための有用なツールとなる可能性がある。産科医療機関でSLIM尺度を実施する際には、目的に応じて本研究で得られた重み付け得点または原版の重み付け得点を活用することができるだろう。