研究発表, お知らせ

2024.11.01

論文「暑熱と川崎病の関連」がアクセプトされました!

那波准教授の論文「暑熱と川崎病の関連」が国際科学誌Environmental Research(IF=7.7、Q1ジャーナル)にアクセプトされました!

川崎病は先進国で最も多い子どもの後天性心疾患ですが、約50年間にわたる研究にもかかわらず、川崎病の原因はまだ完全には解明されていません。

研究グループは、2011年から2022年までの全国規模の入院データを解析し、子どもが暑さにさらされると川崎病のリスクが増加することを明らかにしました。

環境要因と川崎病の関連性を理解することは、まだ完全には解明されていない川崎病の原因の解明に繋がることが期待されます。

(書誌情報)
Nawa N, Nishimura H, Fushimi K, Fujiwara T. Association Between Heat Exposure and Kawasaki Disease: A Time-Stratified Case-Crossover Study. Environmental Research. 2024; (in press)
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0013935124021388

【タイトル】
暑熱と川崎病の関連

【背景・目的】
これまで全国規模の入院データを用いた日平均気温と川崎病の関連の検討は十分でなかった。
本研究では、全国規模の入院データを利用し、気温と川崎病の関連を明らかにすることを目的とした。

【方法】2011 年から 2022 年までの 12 年間において、それぞれ1年で最も気温の高い5か月間(5月から9月)の川崎病の入院対象に検討を行った。
入院データはDPC(Diagnosis Procedure Combination
)データベースから抽出し、気温は気象庁のデータを使用し、気温の影響が現れるまでの時間差(ラグ効果)を解析において考慮した。

【結果】
調査期間中の川崎病による入院患者は合計48,784例で、そのうち87.9%が5歳未満であった。
1日の平均気温が高いと、川崎病による入院リスクが高くなることが分かった。特に、1日平均気温が極端な高温(99パーセンタイルの高温)への曝露は、入院リスクを33%高めることが分かった(RR
1.33、95%信頼区間(CI):1.08、1.65)。

【結論】
1日の平均気温が高いと、川崎病による入院リスクが高くなることが分かった。
今後の研究では、高温と川崎病が関連するメカニズムを検討する必要がある。