研究発表, お知らせ

2024.10.08

論文「子ども期の逆境体験・経済的困難はCOVID-19における自殺リスクと関連するか?: U-CORONA研究」がアクセプトされました!

土井助教の論文「子ども期の逆境体験・経済的困難はCOVID-19における自殺リスクと関連するか?: U-CORONA研究」がJournal of Public Mental Health(IF=1.60)にアクセプトされました!

子ども期の逆境体験(ACEs)と、COVID-19下の経済的困難が、COVID-19下の自殺リスクに与える相乗的な影響を検討しました。ACEsと経済的困難はそれぞれ独立して自殺リスクに影響していましたが、相乗的な影響も確認されました。

Doi S, Nawa N, Yamaoka Y, Nishimura H, Koyama Y, Kuramochi J, Fujiwara T. Adverse childhood experiences, economic challenges, and suicide risk under COVID-19 pandemic: Results from U-CORONA study. Journal of Public Mental Health.

https://www.emerald.com/insight/content/doi/10.1108/JPMH-06-2024-0067/full/html

【目的】
本研究では、2019年のCOVID-19パンデミック下での、子ども期の逆境体験(ACEs)と経済的困難が自殺リスクに与える相乗的な影響を、縦断研究を用いて検討した。

【方法】
栃木県宇都宮市で実施された人口ベースの縦断研究「U-CORONA研究」に参加した、18歳から92歳(平均53.8歳)の成人435人を対象とした。ベースライン調査は2020年6月、COVID-19パンデミックの第一波と第二波の間に実施された。ACEsは13項目で評価され、COVID-19による経済的困難は1項目で評価された。フォローアップ調査は2020年10月、第二波と第三波の間に実施され、Mini-International Neuropsychiatric Interview(MINI)から6項目を使用した自己報告形式の質問票を用いて、自殺リスクを評価した。

【結果】
本研究では、ACEsとCOVID-19による経済的困難が、自殺リスクと独立して関連していることに加え、相乗的な影響も明らかとなった。具体的には、ACEsが1つあることと経済的困難を抱える者、ACEsが2つ以上あることと経済的困難を抱える者は、ACEsと経済的困難がない者と比較して、自殺リスクが高くなる傾向にあった。

【結論】
ACEsが多く、さらに経済的困難を経験した成人は、COVID-19パンデミック中に自殺リスクが高くなる可能性がある。