研究発表, お知らせ

2024.05.14

論文「日本における養育支援訪問事業のニーズと利点について:訪問員を対象とした質的研究」がアクセプトされました

山岡プロジェクト講師の論文「日本における育児支援のための家庭訪問プログラムの利点に関する訪問者のニーズと認識:家庭訪問者を対象とした質的研究」がChild Abuse Negl(IF =4.8)にアクセプトされました!

市区町村では、育児ストレス、産後うつ病、子育ての不安や孤立感等を抱える家庭に対して、養育に関する指導助言等を行う「養育支援訪問事業」が行われています。本研究では、養育支援訪問事業に従事するこども家庭支援員にインタビューを行い、事業を行う上でのニーズや訪問のメリットをどう認識しているかについて調査しました。定期的に「家の中に入る」支援だからこその課題とその強みについて報告しています。

Yamaoka Y, Ochi M, Fukui M, Isumi A, Doi S, Fujiwara T, Nawa N. Home visitors’ needs and perceptions of the benefits of a home visiting program for childcare support in Japan: a qualitative study of home visitors. Child Abuse Negl. 2024 May 14:153:106853.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38749149

【背景】
日本で実施されている養育支援訪問事業(Home Visiting Program for Childcare Support: HV-CCS)は、子育て支援を必要とする家庭や児童虐待のリスクのある家庭を対象としている。

【方法】
本研究は、HV-CCSにおける訪問員が抱えるニーズと訪問によるメリットをどう認識しているかを明らかにすることを目的とした。同意した16人の訪問員に半構造化面接を実施し、約18時間のデータを主題分析を用いて分析した。

【結果】
訪問員には、養育者や子どものメンタルヘルスに関する個人のスキルや知識を高めるための研修が必要であること、また環境面では、特に交通費や駐車場などの支援が必要であることが示唆された。訪問員は、養育スキルや家庭環境の改善、母親への心理的支援、家族の親密な空間への介入ができることが、児童虐待の予防に有益であると認識していた。

【結論】
日本における家庭訪問の継続性と向上を確保するためには、訪問員が抱えるニーズに対応することが不可欠である。