研究発表, お知らせ

2024.05.07

論文「出生児の母親の自己実現への不満足と、生後18か月までの子どもに対する揺さぶり・首絞めなどの身体虐待との関連」がアクセプトされました!

大学院生の河原さんの論文「出生児の母親の自己実現への不満足と、生後18か月までの子どもに対する揺さぶり・首絞めなどの身体虐待との関連」がChild Abuse and Neglect(IF: 4.8)にアクセプトされました。

この研究は、東京の2つの産科病棟で出産した434人の母親を対象に、自己実現への不満足が乳幼児への身体的虐待とどのような関連があるかを調査しました。自己実現への不満足を感じる母親は、自己に満足している母親に比べて、子供を虐待する可能性が高いことが分かりました。これは、乳幼児虐待の予防策の見直しを促す重要な発見です。

Kawahara T, Isumi A, Ochi M, Kato Doi S, Pamela J. S, Fujiwara T, Association between maternal dissatisfaction with oneself at birth and shaking and smothering toward the offspring up to 18 months old. Child Abuse & Neglect. 2024 May 1:153:106816. doi: 10.1016/j.chiabu.2024.106816.

【背景】自己実現への不満足を抱える母親は、子供に対して揺さぶるまたは窒息させるなどの虐待行為に及ぶことがあります。この関連性を理解することは、効果的な予防策を立てる上で重要です。

【方法】研究には、東京の2つの産科病棟で最近出産した434人の母親が参加しました。縦断的デザインを採用し、出産後のアンケートを使用して、母親の自己実現への不満足を測定しました。これには、個人的な基準や自己イメージに達していないと感じる度合いの評価が含まれます。3、6、12、18か月での幼児の身体的虐待(特に揺さぶりや首絞め)を追跡しました。データ分析には、多変量解析、グループベースの軌道モデリング、および多変量ロジスティック回帰が含まれ、母親の自己実現への不満足と子どもへの身体的虐待との関連を調査しました。

【結果】多変量解析によると、自己実現に対する中程度または高い不満を持つ母親は、低い不満を持つ母親に比べて、乳幼児を虐待する可能性が高くなることが示されました(調整オッズ比 [aOR] 5.71, 信頼区間 [CI], 1.06-30.78およびaOR 12.47, 95 % CI, 2.11-73.69)。軌道分析によると、中程度または高い不満を持つ母親は、18か月まで一貫して幼児を虐待する可能性が高いことが示されました(aOR 8.08, 95% CI 1.61-40.53およびaOR 6.42, 95% CI 1.27-32.43)。

【結論】この研究の発見は、母親の自己実現への不満足と乳幼児への身体的虐待の高いリスクとの強い関連を浮き彫りにしています。これらの洞察は、幼児虐待の予防策の包括的な見直しを求めています。