藤原研で博士課程を修了した宮村慧太朗さんの論文「思春期早期の肥満リスクに対する受動喫煙曝露の影響」がPediatric Research (IF=3.953)のEditor’s Focusに選出されました!!
https://www.nature.com/articles/s41390-022-02454-5
元論文と日本語アブストラクトを以下に再掲いたします。
Miyamura K, Nawa N, Isumi A, Doi S, Ochi M & Fujiwara T. (2022). Impact of exposure to secondhand smoke on the risk of obesity in early adolescence. 2023 Jan;93(1):260-266. Pediatric Research.
https://doi.org/10.1038/s41390-022-02231-4
思春期早期の肥満リスクに対する受動喫煙曝露の影響
【背景】
受動喫煙への曝露は、小児の肥満と関連する可能性がある。本研究では、思春期早期の受動喫煙への曝露状況の変化が肥満リスクと関連するかどうかを明らかにすることを目的とした。
【方法】
足立区で実施された子どもの健康・生活実態調査(Adachi Child Health Impact of Living Difficulty (A-CHILD) study)の小学生3605名の2018年(4年生)および2020年(6年生)の縦断データを用いた。小学4年生と6年生時の受動喫煙曝露の状況から、受動喫煙に継続して曝露された群、4年生時には曝露があったが6年生時には曝露がなくなった群、4年生時には曝露がなかったが6年生時には曝露があった群、継続して曝露がなかった群の4群に分類し、それらの受動喫煙曝露状況と小学6年生時のBMIカテゴリー(低体重または標準体重、過体重、肥満)の関連を順序ロジスティック回帰モデルを用いて評価した。
【結果】
受動喫煙に継続して曝露された群は、受動喫煙曝露が継続してなかった群と比較し、高BMIカテゴリーに入るリスクが高かった(OR=1.51、95%信頼区間 1.16-1.96)。性別による層別解析では、男子では同様の関連が認められたが(OR=1.74、95%信頼区間 1.25-2.44)、女子では認められなかった(OR=1.14、95%信頼区間 0.74-1.76)。小学6年生時に受動喫煙への曝露がなくなった群は、受動喫煙への曝露が継続してなかった群と比較し、高BMIカテゴリーに入るリスクが高くなく(OR=1.11、95%信頼区間 0.75-1.66)、男子も同様の結果であった(OR 1.46、95%信頼区間 0.88-2.41)。
【結論】
継続的な受動喫煙への曝露は、思春期初期の男子において肥満の危険因子であった。しかし、思春期初期に受動喫煙曝露をなくすことは、肥満の予防につながる可能性がある。