研究発表, お知らせ

2021.06.09

論文「千葉市における虐待による頭部外傷の入院症例の発生率」がアクセプトされました

プロジェクト助教の山岡さんの論文「千葉市における虐待による頭部外傷の入院症例の発生率」がPediatrics International (IF = 1.139)にアクセプトされました!

この論文は、住民ベースの乳児における虐待による頭部外傷(Abusive Head Trauma)の入院症例の発生率が10万人あたり34.5人と、他諸国で報告されているものと同程度であることを報告しました。

Yamaoka Y, Obikane E, Isumi A, Miyasaka M, Fujiwra T. Incidence of hospitalization for abusive head trauma in Chiba City, Japan. Pediatrics International. 2021 Jun 30. doi: 10.1111/ped.14903.[Epub ahead of print]

【背景】本研究では住民ベースのサンプルを用いて、千葉市における12ヶ月未満の乳児における虐待よる頭部外傷(Abusive Head Trauma: AHT)の入院症例の発生率を推測するために実施した。


【方法】2011〜2015年に千葉市内の全ての小児二次医療・三次医療機関に入院した乳児の診療記録を後方視的に調査した。多職種による院内虐待対応チームによってAHTと評価された13例を、さらに1人の小児放射線科医と2人小児科医が頭部CT画像と診療記録をレビューし、臨床的にAHTが強く疑われる症例と中程度疑われる症例と判定した。


【結果】乳児人口10万人年あたり、AHTの発生率は34.5人(95%信頼区間: 18.4-59.1)であり、そのうち強く疑う事例が 13.3人(95%信頼区間: 4.3-31.0)、中程度の疑い事例が 21.3人(95%信頼区間: 9.2-41.9)であった。強く疑われる症例と中程度疑われる症例ではCT所見には統計学的な有意差は認められなかった。

【結論】住民ベースの乳児におけるAHTの入院症例の発生率は、他諸国で報告されているものと類似していた。