お知らせ, 研究発表

2021.04.16

論文「小児期の先延ばし傾向と高齢期における残存歯数の関連」がアクセプトされました

大学院生の島村さんの論文「小児期の先延ばし傾向と高齢期における残存歯数の関連」がJournal of Epidemiology(IF = 3.691)にアクセプトされました!

この論文は、子ども期における先延ばし傾向と健康との関連性に注目し、日本人地域在住高齢者の質問紙データを用いて歯の本数との関連を解析したものです。子ども期に学習課題の先延ばし傾向があると、高齢期において歯が少ないことを明らかにしました。

Shimamura M, Matsuyama Y, Morita A & Fujiwara T. (2021) Association between procrastination in childhood and the number of remaining teeth in Japanese older adults Journal of Epidemiology. In press

www.jstage.jst.go.jp/…/…/0/advpub_JE20200366/_article/-char/

【背景】必要かつ重要なタスクを遅らせてしまう先延ばし傾向は、ストレスおよび不健康な行動を誘発する。口腔の健康は、ストレスへの暴露および長期にわたる口腔衛生の習慣を反映しているが、小児期における先延ばし傾向と高齢期における口腔の健康との関連についての研究は限られている。本研究では、小児期における先延ばし傾向と高齢期における残存歯数との関連を検討した。

【方法】2017年宮城県涌谷町にて、国保及び後期高齢者医療制度加入高齢者を対象に自記式質問紙調査を実施し、1616名から有効回答を得た。夏休みの宿題に取り掛かったタイミングについて質問をし「ギリギリまで全く手をつけなかった」者を小児期における先延ばし傾向ありとして評価した。残存歯数は、20本以上、10~19本、1~9本、0本の選択肢により評価した。交絡因子として性別・年齢・母親の教育歴・小児期の社会経済的地位 (SES)・小児期の虐待経験・勤勉性、媒介変数として成人期以降のSES・喫煙歴・飲酒歴を調整した。順序ロジスティック回帰分析を用いて分析を行った。

【結果】参加者の46%が、小児期における先延ばし傾向あり群に分類された。残存歯数が20本以上、10~19本、1~9本、0本の参加者の割合は、それぞれ39.6%、22.7%、24.0%、13.7%だった。全ての共変量調整後、小児期における先延ばし傾向あり群は、先延ばし傾向なし群と比べて、残存歯数が有意に少なかった(OR=1.28 , 95%CI: 1.05–1.57)。

【結論】小児期における学習課題の先延ばし傾向は、高齢期における残存歯数が少ないことと関連を示した。