藤原教授は東京大学の橋爪教授、日本医療政策機構の菅原副事務局長と共にこのLancet Count downの政策提言を共同執筆しました。
概要は以下です。
日本はこれまで1.5℃目標に沿った行動を取らず、健康の重要性を優先事項として十分に考慮してこなかった。
しかし、健康と気候変動に関する報告書である「ランセット・カウントダウン」の最新データは、日本ですでに健康への影響が現れていることを示しており、気候と健康を守るために、1.5℃目標に沿った野心的な気候目標と、カーボンバジェット(炭素予算)の制約内で十分な排出削減を達成することの緊急性を強調している。
文書では、2024年版報告書のエビデンスをもとに、日本が重点的に取り組むべき優先政策エリアを要約しています。
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大気汚染、エネルギー移行と健康の相乗便益:再生可能エネルギーの普及拡大と利用促進を図り、化石燃料への依存を減らすことで、エネルギー安全保障を強化し、化石燃料による健康への有害な影響を避けることが可能となる。
1.5℃目標に沿った野心的な計画は、気候変動の根本的な原因を緩和するだけでなく、より健康的な社会の実現にもつながる。
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脆弱な人々を熱波から守る:
暑熱への適応策を強化することで、乳幼児、高齢者、労働者などの脆弱な人々を守るとともに、強靭な医療システムへの投資を進め、労働安全基準を徹底し、地域に根ざした解決策を拡充する必要がある。これにより、気候変動によるリスクの増大から健康や経済への影響を緩和することができる。
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気候変動に強靭な医療システムへの投資と医療従事者の役割:
気候変動に強靭な医療システムへの投資と資金提供、医療システムからのGHG排出の削減、気候変動と健康に関する情報を広めるための医療従事者の能力向上、気候変動による災害に対応するための医療施設の整備を進めることが重要である。