Japanese Journal of Clinical Oncology (JJCO)で発表された2023年の原著論文107編の中から、” Association between Socioeconomic Status and Net Survival after Primary Lung Cancer Surgery A Tertiary University Hospital Retrospective Observational Study in Japan ”が、奨励賞に相当するHighly Commended Paperに選出されました。
日本語タイトル 「社会経済状況と肺がん原発手術後の純生存率との関連: 日本における三次大学病院のレトロスペクティブ観察研究」
著者 花房真理子(元: 東京都地域医療政策学講座寄附講座助教), 伊藤ゆり, 石橋洋則, 中谷友樹, 那波伸敏, 祖父江友孝, 大久保憲一, 藤原武男
本研究では、がん診療連携拠点病院として首都圏のがん診療の中心的役割を担っている東京医科歯科大学病院(現: 東京科学大学病院)の臨床データを用いて、社会経済状況において不利な患者さんの肺癌術後の生存率は、社会経済状況において有利な患者さんよりも悪いことを報告しました。また、このような差が生じるのには、社会経済状況において不利な患者さんが、手術の時点でより進行した病期であることが寄与している可能性が示唆されました。
より多くの施設からのデータでの検証も必要ですが、社会経済的な背景による生存率の格差を解消するためにはどのようなことができるのか、今後の研究で明らかにしていくことが重要です。
Hanafusa M, Ito Y, Ishibashi H, Nakaya T, Nawa N, Sobue T, Okubo K, Fujiwara T*. Association between socioeconomic status and net survival after primary lung cancer surgery: a tertiary university hospital retrospective observational study in Japan. Jpn J Clin Oncol. 2023 Mar 30;53(4):287-296.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36655308/