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2025.06.17

論文「社会的孤立ではなく孤独感が、東京の大学生の COVID-19 ワクチン接種忌避のリスク要因である」がアクセプト/プレスリリース/新聞等に掲載されました!

後藤助教(寄附講座)、那波准教授、藤原教授らの論文「社会的孤立ではなく孤独感が、東京の大学生の COVID-19 ワクチン接種忌避のリスク要因である」がScientific Reports (IF: 3.8)にアクセプトされました。

都内4大学の学生約3,000名を対象に実施した調査に基づき、孤独感を抱く学生はワクチン接種をためらう傾向が約2倍高いことが明らかになりました。一方で社会的孤立との関連は見られず、感染症対策において学生の孤独感に配慮した支援の重要性を示唆しています。

本学のプレスリリースからも詳細な情報をご覧いただけます。

若年層のワクチン忌避、社会的孤立より“孤独感”が影響

(書誌情報)
Goto Y, Nawa N, Nakayama T, Sato M, Satoh I, Nitta H, Okada S, Wakabayashi K, Fujiwara T. Loneliness, but not social isolation, is a risk factor for COVID-19 vaccine hesitancy in university students in Tokyo, Japan. Sci Rep. 2025 May 21;15(1):17562.

【背景】
COVID-19パンデミック下では、特に大学生において、キャンパス訪問の制限により社会的孤立が深刻な問題となった。このような社会環境は、正確な情報の不足や孤独に起因する新たな行動への不安によって、ワクチン忌避に影響を及ぼす可能性がある。

【目的】
本研究は、東京都内の大学生を対象に、社会的孤立および孤独感とCOVID-19ワクチン忌避との関連を検討することを目的とした。

【方法】
2022年3月、四大学連合(東京医科歯科大学、東京外国語大学、東京工業大学、一橋大学)に所属する全学生を対象にオンライン質問票調査を実施した。質問内容には、ワクチン接種回数、社会的孤立、孤独感、メンタルヘルスなどの共変量が含まれた。ワクチン忌避者は、第3回目の接種期間中に一度も接種を受けていない者、または1回のみ接種した者と定義した。分析にはロジスティック回帰分析を用いた。

【結果】
2,907人の学生のうち、1,080人(37.2%)が社会的に孤立しており、480人(16.5%)が孤独を感じていた。また、113人(3.9%)がワクチン忌避者であった。孤独感を抱く学生は、そうでない学生と比較してワクチンを忌避する傾向が2.08倍高く(95%信頼区間: 1.25–3.44)、一方で社会的孤立はワクチン忌避との有意な関連を示さなかった(オッズ比: 1.07、95%信頼区間: 0.69–1.65)。

【結論】
東京都内の大学生において、孤独感はCOVID-19ワクチン忌避と有意に関連していたが、社会的孤立との関連は認められなかった。これらの知見は、将来のパンデミックに備えた若年層向けのワクチン接種プログラムの設計において、孤独感への配慮の重要性を示唆している。