幼少期の社会的環境と小児川崎病の発症との関連
Fujiwara T, Shobugawa Y, Matsumoto K, Kawachi I. Ann Epidemiol, in press
*ハーバード大学、国立成育医療研究センター、新潟大学との共同研究です。
目的:
本研究の目的は幼少期の社会的環境と小児川崎病の発症との関連を明らかにすることである。
方法:
厚生労働省が実施する21世紀出生児縦断調査の10歳までの追跡データを用いた。両親の教育歴、世帯年収、家族の人数について生後6ヶ月の質問紙から得た。過去1年における医師による川崎病の診断について、10歳までの毎年の質問紙によって把握した。川崎病の発症に関するリスク要因について、コックス比例ハザードモデルを用いて解析した。
結果:
世帯年収が1000万以上の家庭で育った子どもは、400万未満の世帯で育った子どもに比べて、川崎病を発症するリスクが1.76(95%信頼区間:1.15-2.69)倍高かった。世帯の人数が3人以下の場合、6人以上の世帯と比べると川崎病の発症リスクは1.62(95%信頼区間:1.10-2.40)倍であった。都市部で生まれた子どもも田舎で生まれた子どもに比べて川崎病の発症リスクが高かった(ハザード比:1.55, 95%信頼区間:1.06-2.26)。
結論:
高収入、少ない家族数、都市部での出生が川崎病の発症リスクと関連していた。しかしながら、幼少期の感染曝露と川崎病との有意な関連は見出されなかった。