研究発表

2017.12.19

「小学校1年生における睡眠習慣と問題行動およびレジリエンスとの関連:足立区子どもの健康・生活実態調査結果から」に関する論文がアクセプトされました

「小学校1年生における睡眠習慣と問題行動およびレジリエンスとの関連:足立区子どもの健康・生活実態調査結果から」

Doi S, Fujiwara T*, Ochi M, Isumi A, Kato T. Association of sleep habits with behavior problems and resilience of 6- to 7-year-old children: Results from the A-CHILD study. Sleep Medicine. (in press) *Corresponding author

【背景】 児童期の睡眠習慣は、さまざまなメンタルヘルスの発達と関連があることが知られている。しかしながら、小学校低学年の児童における不規則な就寝時間の影響は検討されていない。本研究では、平日の望ましくないとされる睡眠習慣(日によって就寝時間が異なる、就寝時間が22時以降である)が、6〜7歳の児童における問題行動、向社会性、レジリエンス(逆境を乗り越える力)に与える影響を検討することを目的とした。

【方法】本研究では、足立区子どもの健康・生活実態調査(Adachi Child Health Impact of Living Difficulty: A-CHILD study)で得られたデータの一部を使用した。調査対象者は、足立区内の全公立小学校69校に通う1年生(6〜7歳)の保護者4,291名であった。保護者の質問紙への回答によって、児童のレジリエンス(Children’s Resilient Coping Scale)、問題行動、向社会性(Strength and Difficulties Questionnaire)を測定した。これらの測定指標の得点は、すべて0〜100点に換算された。児童の不規則な就寝時間および22時以降の就寝と、問題行動、向社会性、レジリエンスとの関連について、傾向スコアマッチング法を用いて検討した。

【結果】平日に就寝時間が不規則である児童は320名(7.5%)、22時以降に就寝する児童は540名(13.6%)であった。就寝時間が不規則である児童は、就寝時間が規則的な児童と比べて、レジリエンスが低く、問題行動スコアが高かった。特に、問題行動の下位尺度である多動・不注意得点と仲間関係スコアが有意に高かった。一方、就寝時間が規則的である児童のうち、22時以降に就寝する児童は、22時よりも前に就寝する児童と比較して、問題行動、向社会性、レジリエンスのスコアに差は認められなかった。

【結論】小学校低学年の児童においては、遅い就寝時間ではなく、平日の不規則な就寝時間が、問題行動とレジリエンスを決める要因となる可能性が示唆された。