土井理美助教の論文「第一子産前産後の父親はなぜ専門職に相談しないのか:相談利用意思と利用ハードル」が日本周産期メンタルヘルス学会会誌に採択されました。
書籍情報
土井理美・藤原武男(in press)第一子産前産後の父親はなぜ専門職に相談しないのか:相談利用意思と利用ハードル. 日本周産期メンタルヘルス学会会誌, 12(1)
【背景】
周産期(パートナーの妊娠から出産後1年の期間)は、母親だけではなく父親にとっても大きな変化があり、周産期の父親におけるうつの割合は母親と同程度とも言われています。父親への支援体制構築が必要ですが、先行研究からも、周産期の父親に対する支援を構築したとしても、利用につながりづらく、援助希求も促進されないことが予想されます。そこで本研究では、パートナーが第一子妊娠中または第一子の産後の父親を対象にインターネット調査を行い、(1)周産期の父親の困り感、(2)専門職への相談経験の有無および相談支援の利用意思の有無、(3)相談支援の利用意思のない父親を対象に利用意思がない理由の3点を明らかにすることを目的としました。
【方法】
ネット調査を通じて、パートナーが第一子妊娠中または産後4ヶ月以内の父親518名にアンケート回答を求めました。アンケートでは、基本情報、妊娠・出産に関する情報、パートナーの妊娠から出産後までの父親自身の困りごと、専門職による相談支援の利用経験と利用意思について父親に尋ねました。利用意思がない場合、利用しない理由をも尋ねました。
【結果】
97.9%の父親は、周産期に何かしらの困り感を抱えていました。これらの困りごとがあったとしても専門職による相談支援の利用意思がない父親は34%に上り、支援へのアクセスの制限、支援内容や効果の不明瞭さ、問題意識の低さが援助希求の阻害要因になっている可能性がありました。
【結論】
今後の相談支援の利用意思がない父親は3割を超え、支援自体や支援する自分自身のイメージが持てていないことが背景にある可能性が示されました。また、相談支援を利用したことがあるものの、今後は利用しないと考える父親においては、父親が被支援者であることに対する疑問視や抵抗感をより抱いている傾向が示唆されました。今後、父親が経験する援助希求ハードルを考慮した父親支援のコンテンツやその届け方を検討する必要があります。

