研究発表, お知らせ

2024.08.20

論文「全国入院患者データベース(DPCデータベース)を用いて解析したCOVID-19のパンデミックが大腸がん手術件数に与えた影響」がアクセプトされました!

大学院生・田澤美也子さんの論文「全国入院患者データベース(DPCデータベース)を用いて解析したCOVID-19のパンデミックが大腸がん手術件数に与えた影響」がSurgery Today(IF:1.7)にアクセプトされました。

(論文要約)
本研究では、COVID-19の流行が日本における大腸がん手術件数に及ぼす影響を、Diagnosis Procedure Combination(DPC)データベースを用いて検討した。症例抽出期間は2017年1月から2020年12月とした。COVID-19の流行期を3つの波に分け、各波における大腸がんの手術件数の変化をがんの病期別に層別化し、ロバスト標準誤差を用いたポアソン回帰を用いて評価した。COVID-19のパンデミック時には大腸がんの診断と治療が遅れ、通常よりも進行した段階で治療が行われたことが示唆され、さらに、流行の初期には手術件数の減少を認めた。しかし、流行が続くにつれて、恐らく医療資源が適切に配分されたためと思われるが、手術件数は徐々に通常通りに回復した。

(書誌情報)
Tazawa M, Nawa N, Yamauchi S, Tokunaga M, Fushimi K, Kinugasa Y, Fujiwara T. Impact of the coronavirus disease 2019 pandemic on the number of colorectal cancer surgeries performed: analysis of a nationwide inpatient database in Japan. Surgery Today. 2024 Aug 20. Online ahead of print.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39164425/

日本語アブスト
【タイトル】全国入院患者データベース(DPCデータベース)を用いて解析したCOVID-19のパンデミックが大腸がん手術件数に与えた影響

【背景・目的】本研究では、COVID-19の流行が日本における大腸がん手術件数に及ぼす影響を検討した。
【方法】Diagnosis Procedure Combination(DPC)データベースより、2017年1月から2020年12月の間に大腸がん手術を受けた患者を抽出した。COVID-19発生初期の流行を3つの波に分けた。COVID-19パンデミックの各波における大腸がんの手術件数の変化をがんの病期別に層別化し、ロバスト標準誤差を用いたポアソン回帰を用いて評価した。
【結果】結腸がん手術は、第1波では、Stage IIIの手術が6%有意に減少(RR, 0.94)し、第2-3波ではStage 0-IIの手術は4%有意に減少(RR, 0.96)し、Stage IVの手術は9%有意に増加(RR, 1.09)した。直腸がん手術は、第1波でStage 0-IIの手術は9%有意に増加(RR、1.09)し、Stage IVの手術は16%有意に減少(RR、0.84)した。
【結論】COVID-19のパンデミック時には大腸がんの診断と治療が遅れ、通常よりも進行した段階で治療が行われたことが示唆された。さらに、流行の初期には手術件数の減少を認めた。しかし、流行が続くにつれて、恐らく医療資源が適切に配分されたためと思われるが、手術件数は徐々に通常通りに回復した。