藤原研究室での博士課程在籍中に大畑医師らが執筆した論文「脊椎手術患者における術
前禁煙指導が術後入院日数と入院費用に及ぼす影響:プロペンシティスコアマッチングに
よる検証」が掲載雑誌Anaesthesia Critical Care & Pain Medicine (IF5.5)のEditorialで紹介
されました。
従来の研究では、術前の禁煙介入により術後合併症を減らすことができることは示され
ていましたが、入院日数には効果はないとされてきました。藤原研究室の大畑医師らは、
日本は海外と比較して入院日数が長い傾向があることに注目し、術後合併症により入院期
間が長期化しやすい脊椎手術に術式を限定して、禁煙指導(パンフレットを用いて整形外
科医師または外来看護師が実施)をした患者群と禁煙指導をしなかった患者群を比較しま
した。その結果、禁煙指導をした患者群では、入院日数が平均10.6日短く、入院費用は平
均で約150万円から160万円低かったことを明らかにしました。
Editorial では、大畑医師らの研究で実施されたような簡便な方法で効果が得られるので
あれば、脊椎手術においては術前に禁煙のサポートを喫煙者全員に積極的に提供するべき
であると述べられていました。また、他の術式においても同様の結果が得られるのか、他
の国でも同様の影響が見られるのかは更に検証する必要はありますが、この論文は大手術
を受けるという人生の大事な瞬間に、医療サービスが喫煙者の生活に重要なプラスの影響
を与えることができることを強調しているとコメントされていました。
EditorialはAnaesthesia Critical Care & Pain Medicineに掲載されており、以下からアクセス
が可能です。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38360405/
Editorial:
Webb A, Rasmussen M. Should proactive smoking cessation support before spinal surgery
be routine and universal? Anaesth Crit Care Pain Med. 2024 Feb 13;43(2):101357. doi:
10.1016/j.accpm.2024.101357.
論文はAnaesthesia Critical Care & Pain Medicine 2023年12月号に掲載されています。
Ohata M, Nawa N, Minami K, Uchida T, Fujiwara T. Impact of preoperative intervention for
smoking cessation on postoperative length of stay and cost for spine surgery patients:
Propensity score matching analysis. Anaesth Crit Care Pain Med. 2023 Dec;42(6):101270.
doi: 10.1016/j.accpm.2023.101270.