研究発表, お知らせ

2023.03.18

論文「改正貸金業法と自殺率との関連」がアクセプトされました!

藤原研で博士課程を修了した福屋吉史さんの論文「改正貸金業法と自殺率との関連」がSuicide and Life‐Threatening Behavior(IF=4.528)にアクセプトされました!

2010年6月に完全施行された貸金業法の改正と本邦の40-64歳の男性の自殺率のトレンドの減少との間に関連を示した論文です。

Association of revision of Money Lending Business Act and suicide rate in Japan: An interrupted time series analysis.

Yoshifumi Fukuya, Nobutoshi Nawa, Ayako Morita, Takeo Fujiwara

Suicide and Life-Threatening Behavior. 2023;10.1111/sltb.12950. doi:10.1111/sltb.12950

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/sltb.12950

【目的】

これまでに借金問題と自殺に関連あることが報告されている。本邦では、多重債務の問題に対処するために2006年12月に貸金業法が改正され、2010年6月に完全施行された。本研究は、改正貸金業法と自殺率との関係を明らかにすることを目的とした。

【方法】

2000年1月から2016年12月までの死亡個票データを用いて、自殺により死亡した15歳以上の男女を対象に、interrupted time series analysisを行い、改正貸金業法の完全施行前後の自殺率の変化を比較した。その際、男女別のほかに、年齢別(15歳~39歳、40歳~64歳、65歳以上)による層別化を行った。

【結果】

40歳~64歳の男性群において、改正貸金業法の完全施行後に自殺率(10万人あたり)の減少(-0.3085 :95% 信頼区間-0.529 to -0.0881)とその後のトレンドの減少(-0.0165: 95%信頼区間 -0.0215 to -0.0115)に関連を認めた。40歳~64歳および65歳の女性群においては、改正貸金業法の完全施行後に自殺率の一時的な上昇が認められた。

【結論】

改正貸金業法の完全施行と中年男性の自殺率の減少との間に関連が認められた。本結果から、借金問題に対する政策的な介入は、自殺予防に寄与する可能性が示唆された。