研究発表, お知らせ

2023.01.10

論文「日本の小学生における地域ソーシャルキャピタルと歯科検診へのアクセスとの関連性」がアクセプトされました!

論文「日本の小学生における地域ソーシャルキャピタルと歯科検診へのアクセスとの関連性」がInternational Journal of Environmental Research and Public Health(IF=4.614)にアクセプトされました!

この論文は、プロジェクトセメスターという、東京医科歯科大学医学部4年生の学生が研究室に6ヶ月配属する制度によって当教室に所属した小林万理恵さんが書き上げた論文です。

Marie Kobayashi, Yusuke Matsuyama, Nobutoshi Nawa, Aya Isumi, Satomi Doi, Takeo Fujiwara

International Journal of Environmental Research and Public Health. 2023, 20(1), 47; https://doi.org/10.3390/ijerph20010047

https://www.mdpi.com/1660-4601/20/1/47

【背景】地域のソーシャルキャピタルと子どもの虫歯の関連性は報告されているが、歯科検診に焦点を当てた研究は少ない。本研究では,日本の小学校1年生(6~7歳)を対象に,地域のソーシャルキャピタルと歯科検診の受診との関連を調査した。

【方法】東京都足立区の小学校1年生(6-7歳)を対象に、2017年(n=5260,回答率:81.6%)と2019年(n=5130,回答率:78.8%)に全69小学校の小学1年生の保護者に対して実施した「足立区子どもの健康・生活実態調査」のデータを用いて,親が評価した地域のソーシャルキャピタル(社会信頼,結束,共助の合計点)と子どもの歯科健診(治療以外の目的で年1回以上歯科健診)の関連を調べた。子どもの月齢、性別、母親の学歴、母親の就業状況、兄弟の有無、祖父母との同居、学区内の歯科医院の密度を調整した、小学校区を単位とするマルチレベル回帰分析を用いた。

【結果】分析対象となった7936人のうち、82.7%の子どもが少なくとも年に1回、歯科検診を受けていた。個人レベルのソーシャルキャピタルは,子どもの歯科検診利用率と正の関連を示した(1四分位範囲(IQR)あたりの有病率比(PR) = 0.935 ;95%信頼区間(CI): 0.877-0.996 )。地域のソーシャルキャピタルは、子どもの歯科検診利用率との有意な関連は見られなかった(PR = 0.934 ; 95% CI: 0.865~1.008)。

【考察】個人レベルのソーシャルキャピタルは、日本の小学生における歯科検診を促進する可能性が示唆された。